【無料】大切なPDFを守る!パスワード設定&暗号化の入門ガイド

赤基調のPDFアイコン・南京錠・鍵付き盾のイラストと吹き出しに「大切なPDFを守る!パスワード設定&暗号化の入門ガイド」と書かれた横長バナー画像

メール添付やクラウド共有でPDFを送るとき、「勝手に見られたり改ざんされたりしたらどうしよう……」と不安になったことはありませんか?

でも心配はいりません。PDFには、パスワードをかける・編集や印刷を制限するといったセキュリティ機能が標準で備わっています。しかも、わざわざ高価なソフトを買わなくても 無料ツールだけで十分に防御できる のがポイント。

この記事では Windows・Mac・スマホ の各環境別に、初心者でも3分で試せる暗号化&保護テクニックを厳選して紹介します。さっそく “無料” でできる一番簡単な方法から始めて、大切なPDFを今すぐ守りましょう。

PDFをパスワード保護するメリットと基本設定

PDFにパスワードを設定すると、他人に内容を見られないようロックをかけることができます。また、パスワードを利用して印刷やコピー、編集を禁止することも可能です 。具体的には以下の2種類のパスワード設定があります。

閲覧用パスワードと権限用パスワードの違いを示す図
  • 閲覧用パスワード(ユーザーパスワード) – PDFを開くときに入力が必要なパスワードです。これを設定すると、許可された人だけしかPDFを開いて中身を見ることができません。
  • 権限用パスワード(オーナーパスワード) – PDFの編集・印刷・テキストコピーなどを制限するためのパスワードです。閲覧はできても勝手に内容を変更したり印刷したりできなくなります 。

初めての方は、まず閲覧用パスワードを設定するだけでも基本的なセキュリティ対策になります。必要に応じて編集禁止や印刷禁止などの権限設定も活用すると、より安全にPDFを共有できます。

無料でPDFにパスワードをかける方法

有料のAdobe Acrobat製品を使わなくても、PDFの暗号化は無料で行えます。ただしAdobe Reader(無料版)にはパスワード設定機能がありません (東京女子大学情報処理センター – [Adobe] PDFファイルにパスワードを設定する方法)ので、以下のような他の手段を使いましょう。ここでは初心者におすすめの方法を、利用シーン(オンライン/各OS)別に紹介します。

方法1: オンラインサービスを利用する(Windows/Mac/スマホ共通)

インストール不要で手軽なのが、オンラインのPDF暗号化サービスを使う方法です。Webブラウザ上でPDFファイルをアップロードし、設定したいパスワードを入力すれば暗号化されたPDFをダウンロードできます。例えば iLovePDF や Adobe Acrobatオンラインツール といった海外サービスのほか、国産の無料オンラインPDFツール 「楽々PDFメーカー」 などがあります。オンラインサービスならWindowsでもMacでもスマホでも利用でき、初心者でも直感的に操作しやすいでしょう。

手順はサイトによって多少異なりますが、一般的には次のような流れです。

  1. サービスのページで保護したいPDFファイルを選択(ドラッグ&ドロップするだけの所もあります)。
    ilovepdfのパスワード保護ツールのホーム画面
  2. 設定画面でパスワードを入力し、必要に応じて確認用にもう一度入力します。
    ilovepdfでポスワードを設定している様子
  3. 「暗号化」や「保護」ボタンを押すと、パスワード付きに変換されたPDFがダウンロード可能になります。

メリット: ソフトをインストールする必要がなく、環境(OS)を問わず利用できます。操作も簡単で、画面の指示に従うだけで完了します。

注意点: オンライン上にPDFデータをアップロードするため、機密性の高い書類の場合は注意が必要です。信頼できるサービスを選ぶか、後述のオフライン方法も検討しましょう。また、大容量のPDFだと時間がかかったり、無料版では1日の処理回数に制限があるサービスもあります。

方法2: Windowsで無料ソフトを使う

Windowsユーザーは、手元のソフトやフリーソフトを使ってPDFにパスワードを設定できます。代表的な方法を二つ紹介します。

Microsoft Wordでパスワード付きPDFを作成

もしWordがインストールされているなら追加のソフトは不要です。Wordは文書をPDF形式で保存する際にパスワードをかける機能を持っています。操作もシンプルなので初心者におすすめです。

  1. パスワードを設定したい内容のファイルをWordで開く(既存PDFしかない場合は一度Wordに貼り付けるか、WordでPDFを開いて編集できる場合があります)。
  2. メニューの「ファイル」→「名前を付けて保存」(または「エクスポート」→「PDF/XPSドキュメントの作成」)を選択します。
  3. 保存先とファイル名を指定し、ファイルの種類を「PDF」に変更します。
  4. 「オプション」をクリックし、「ドキュメントをパスワードで暗号化する」にチェックを入れてパスワードを設定します。確認のため同じパスワードを再入力し「OK」を押します。
  5. 最後に保存(発行)すれば、設定したパスワードを入力しないと開けないPDFファイルが作成されます。

✅ 補足: Wordで作成したPDFへのパスワード設定は閲覧用パスワード(開くためのパスワード)のみですが、シンプルな保護としては十分でしょう。Wordが手元にない場合は、後述のフリーソフトを利用してください。

無料のPDF作成ソフトを使う

専用のフリーソフトを使えば、より柔軟にセキュリティ設定が可能です。例えば「CubePDF」はWindows用の無料PDF仮想プリンタで、PDF出力時にパスワード設定ができます。 CubePDFをインストールすると印刷機能経由でPDFを作成でき、その際にパスワード(オーナーパスワード)を設定して編集や印刷を禁止するといった細かい制限も付けられます 。手順は以下の通りです。

    • CubePDFをインストール後、保護したい文書ファイルを開き、印刷のプリンタに「CubePDF」を選択して印刷実行します。
    • CubePDFの設定ウィンドウが開いたら「ファイルタイプ」でPDFを選び、「パスワードによるセキュリティを設定する」にチェックを入れます。
    • パスワード入力欄に任意のパスワード(これがオーナーパスワードになります)を入力します。必要に応じて「閲覧専用のパスワードを設定する」をチェックして開く用パスワード(ユーザーパスワード)も別途設定できます 。
    • 次に「操作」の項目で許可する動作を指定します。例えば「印刷を許可しない」「内容のコピーを許可しない」など制限したい項目のチェックを外して設定します。
    • 設定ができたら「保存」を実行し、パスワード保護されたPDFを出力します。 CubePDF以外にも、PDF24 Creator や LibreOffice(無料のOfficeソフト。PDFエクスポート時にパスワード設定可能)なども同様のことができます。既存のPDFに後からパスワードを付けたい場合は、「CubePDF Utility」というツールを使ってPDFに暗号化を施すこともできます。

    ✅ 補足: これらフリーソフトを使うと、編集・印刷・コピーの禁止といった詳細な権限設定も可能です。ただし設定した制限はPDF閲覧ソフト側が守るもので、完全なコピー防止を保証するものではありません(画面を撮影されたり、制限を解除する手段も世の中にはあります)。とはいえ通常の閲覧者による誤操作や不正利用を防ぐ効果は十分あります。

    ZIPに暗号化して送付する方法(番外編)

    PDF自体にパスワードを埋め込む方法ではありませんが、圧縮ファイルにパスワードをかけてPDFを保護する手段もあります。

    例えばWindows標準のZip圧縮や無料の圧縮ソフト「7-Zip」を使って、PDFファイルをパスワード付きZIPにまとめる方法です。こうすれば受け取った相手は解凍時にパスワードを要求され、無関係の人に中身を見られる心配を減らせます。

    企業ではパスワード付きZIPにしてメール送信する運用も一般的です。手軽な方法ですが、受け取り側で一度解凍する手間がかかる点と、ZIPの暗号化強度はPDFそのものの暗号化と比べて弱い方式(Zip暗号は解析されやすい場合がある)もある点に注意してください。

      方法3: Macのプレビュー機能を使う

      Macをお使いなら、追加のソフトを入れなくても標準アプリ「プレビュー」でPDFを暗号化できます。プレビューでPDFを開いてパスワードを設定するだけなので、Macユーザーには一番手軽な方法です。

      手順は以下の通りです。

      1. 対象のPDFファイルをプレビューで開きます(FinderでPDFを右クリックし「このアプリケーションで開く>プレビュー」を選択)。
      2. メニューから「ファイル」→「書き出す…」をクリックします。書き出しダイアログが表示されたら、ファイル名や保存場所を必要に応じて指定しましょう。
      3. ダイアログ内の「アクセス権」というボタン(または「暗号化」オプション)をクリックし、「書類を開くときにパスワードを要求」にチェックを入れます。そして設定したいパスワードを入力し、確認のためもう一度入力します 。
      4. そのまま「保存」を実行すると、パスワード保護されたPDFファイルが新たに保存されます。(元のPDFとは別ファイルとして保存されます)

      以上で、そのPDFは開く際にパスワード入力が求められるようになります。Macのプレビューは権限パスワードの設定にも対応しており、「アクセス権」オプションで印刷や編集を制限し、オーナーパスワードを設定することも可能です 。例えば「印刷を許可しない」設定にすると、パスワードなしでは印刷できないPDFになります。これら高度な設定もワンクリックでできるため、Macユーザーはぜひ活用してください。

      方法4: スマホアプリを使う(iPhone/Android)

      パソコンが手元にない場合でも、スマートフォンでPDFにパスワードをかけることができます。

      iPhone/iPad (iOSの場合)

      iOSの標準「ファイル」アプリでPDFを開き、直接パスワードを設定できます。やり方は、ファイルアプリで対象のPDFを長押し(またはプレビュー表示)してメニューから「パスワードを設定」を選び、任意のパスワードを入力するだけです。これでそのPDFはロックされ、次回から開く際にパスワード入力が必要になります 。Apple純正の機能なので追加アプリ不要で安全に利用できます。ただし設定したパスワードの解除はiOS標準機能ではできないため、解除したい場合はPCで処理するか別途解除用アプリが必要です(パスワードは忘れないよう注意しましょう)。

      Androidの場合

      Androidには標準でPDF暗号化できる機能はありませんが、無料の専用アプリを使って対応できます。Google Playストアで「PDF パスワード」などと検索すると、PDFにパスワードをかけるためのアプリが多数見つかります 。例えば 「PDF Lock」 や 「PDF Utility」 などのアプリは、PDFファイルにパスワードロックを設定できるシンプルなツールです 。使い方はアプリによりますが、基本的にスマホ内のPDFを選び、パスワードを入力して保存するだけです。オフラインで処理できるアプリもあるので、ネットにアップする心配もなく手軽に利用できます。

      スマホの場合は画面サイズの関係で細かい権限設定(印刷禁止など)はやりづらいですが、閲覧用のパスワード保護だけなら十分実用的です。外出先でもすぐPDFをロックできるので覚えておくと便利でしょう。

      まとめ

      PDFのセキュリティ強化・暗号化は初心者でも無料で簡単に実践可能です。オンラインサービスを使えば手軽ですし、手元のWindows/Mac環境でも標準ソフトやフリーソフトで対応できます。まずは重要なPDFにパスワード(閲覧用)を設定してみましょう。それだけでもファイルの不正閲覧防止に大きな効果があります。さらに必要に応じて編集や印刷を制限すれば、内容の改ざんや流出リスクを一段と下げることができます。

      最後に、PDFの編集や変換を行う機会が多い方は、国産の無料オンラインツール「楽々PDFメーカー」 の活用もおすすめです。インストール不要でPDFの結合・分割・圧縮などが簡単に行え、誰でも安全・快適にPDFを扱えるでしょう。パスワード設定を含め、目的に合った方法で大切な情報をしっかり守ってください。