【無料】PDFのフォントが埋め込まれていない問題の対処法

フォント不足を示すA文字にバツ印が付いたPDFアイコンと歯車マーク、吹き出しに「PDFフォントを埋め込んで表示崩れ防止!」と書かれた赤基調のワンポイントアドバイス画像

PDFを作ったはずなのに、印刷会社や取引先から「フォントが埋め込まれていません」と突き返されて慌てた経験はありませんか?
フォントが埋め込まれていないPDFは、閲覧するパソコンによって文字化けやレイアウト崩れを起こしやすく、納品前にチェックしておきたい “落とし穴” の一つです。

本記事では、「とりあえず無料でサクッと直したい!」 という初心者の方に向けて、原因の仕組みから確認方法、無料ツールを使った具体的な解決手順までを絞り込んで解説します。この記事を読み終える頃には、迷わずフォント埋め込み済みPDFを作成できるようになっていますよ。

そもそも「フォント埋め込み」とは?

PDFのフォント埋め込みとは、PDFファイル内にそのPDFで使用されているフォントの情報を一緒に保存することです。フォントを埋め込んでおけば、閲覧・印刷する側のパソコンに同じフォントがインストールされていなくても、作成時と同じ見た目で表示・印刷できます​。

逆にフォントが埋め込まれていないPDFでは、閲覧環境にそのフォントが無い場合に別のフォントに置き換わったり文字化けしたりする原因になります

フォントが埋め込まれていないとどうなる?

フォント未埋込のPDFを他のPCで開くと、文章のレイアウト崩れや文字化けが発生することがあります。

これは閲覧側のPCに作成時使用したフォントが無いために起こり、別のフォントで代用表示されてしまうからです。例えば、作成者のPCで「丸ゴシック」でデザインした文書も、閲覧側にそのフォントがなければ「ヒラギノ」や「MS Pゴシック」などに置き換わって見える、といった事態になります。

特に印刷会社へPDF入稿する場合、フォント未埋込だと正確に印刷されない恐れがあるため、送信前にフォントが埋め込まれているか必ず確認する必要があります

まずは“無料”でチェック!埋め込まれているか確認する

PDFのフォント埋め込み状況はAdobe Acrobat Reader(無料版のAdobe Reader)で簡単に確認できます​。

  • PDFを開き [ファイル]→[プロパティ] をクリック
    PDFのフォント埋め込み状況を確認するために「ファイル」メニューから「プロパティ」をクリックする操作のモックアップイラスト
  • ダイアログの [フォント] タブを見る
    PDFの文書プロパティ内「フォント」タブを開いて埋め込み状態を確認するモックアップイラスト
  • フォント名の後ろに 「埋め込み」または「埋め込みサブセット」 とあればOK。表示が無ければ未埋め込み

ポイント:印刷前・入稿前の“健康診断”だと思って必ず確認しましょう。

無料でできる4つの解決策

フォント未埋込の問題は、以下の方法で無料で対処できます。身近なツールやサービスを活用して、フォント埋め込み済みのPDFを作成しましょう。

WordやExcelからPDFを保存する際にフォントを埋め込む

Microsoft Office系ソフトからPDFを作成する場合、保存設定を工夫することでフォントを埋め込めます。例えばWordの場合、「名前を付けて保存」でファイルの種類をPDFに選択し、「オプション」から「ISO 19005-1 に準拠 (PDF/A)」にチェックを入れて保存します​。PDF/A形式で保存するとフォント埋め込みが必須となるため、簡単に埋め込みPDFが作成できます。

また、Word自体の設定でフォントを埋め込む方法もあります。「ファイル」→「オプション」→「保存」と進み、「ファイルにフォントを埋め込む」にチェックを入れ、「標準システムフォントは埋め込まない」のチェックを外してからPDFを書き出す方法です​。こうすることで、ArialやTimes New Romanなど通常は埋め込まれないシステムフォントも含め、使用フォントをすべてPDF内に保存できます。なお、一部の特殊なフォントはライセンス上埋め込みが許可されていない場合があります。その場合はそのフォントを別の埋め込み可能なフォントに変更する必要があります​。

CubePDFなどの無料PDF作成ソフトを使う

Officeソフトからの直接変換でフォント埋め込みがうまくいかない場合は、無料のPDF仮想プリンタソフトを利用してみましょう。【CubePDF】や【PDF24】といったツールは、印刷と同じ操作でPDFを作成でき、多くの場合フォントも自動的に埋め込んでくれます。「CubePDF」は無料で利用できる定番のPDF変換・作成ソフトで、Officeから直接PDFを書き出した場合に埋め込めなかったフォントでも、CubePDF経由でPDF化すればフォントが埋め込まれるケースがあります​。

使い方は簡単で、CubePDFをインストール後、WordやExcelから「印刷」を選び、プリンターに「CubePDF」を指定して実行するだけです。作成されるPDFのプロパティを確認し、フォントが埋め込まれていることをチェックしましょう。

LibreOfficeでPDFに変換する

Microsoft Officeをお持ちでない場合や、別の方法を試したい場合はLibreOffice(リブレオフィス)を使う方法もあります。LibreOfficeは無料のオフィスソフトで、WordやExcelと互換性のあるWriterやCalcを搭載しています。

LibreOfficeで書類を開き、PDFエクスポートすれば基本的にフォントは自動的に埋め込まれます​。特別な設定をしなくても埋め込まれるため手軽ですが、もし使用フォントがライセンス等の理由で埋め込み不可能な場合は、この方法でも埋め込めません。その際はエラーになるか、フォント無しPDFになってしまうので、別のフォントに置き換えてから再度PDF化してください​。LibreOffice自体はインストールが必要ですが無料で利用でき、フォント埋め込みの問題対処に有効なツールです。

オンラインPDF変換サービスを利用する(楽々PDFメーカー)

ソフトのインストールなしで手早く解決したいなら、オンラインのPDF作成サービスを活用しましょう。おすすめは 「楽々PDFメーカー」 という国産の無料オンラインツールです。【楽々PDFメーカー】なら、WordやPowerPoint、ExcelなどのOfficeファイルをアップロードするだけでPDFに変換できます​。

フォント埋め込みにも対応しており、インストール不要で安全に利用できます​。使い方は、サイト上で「Officeドキュメント→PDF変換」を選択し、ファイルをドラッグ&ドロップするだけ。数秒でフォント埋め込み済みのPDFがダウンロードできます。完全無料で初心者にもやさしいサービスなので、フォント埋め込みの問題で困ったらぜひ試してみてください。

フォントをアウトライン化する(最終手段)

どうしてもフォントを埋め込めない場合の最終手段として、テキストをアウトライン化(文字を図形化)する方法があります。アウトライン化するとフォント情報の代わりに文字形状そのものがPDFに保存されるため、表示ズレの心配がなくなります。

ただし注意点もあります。文字をアウトライン化するとテキストデータが失われて編集できなくなる​うえ、細かな文字の形がわずかに劣化する可能性があります​。また、アウトライン化を行うPCに該当フォントが無い場合は別フォントに置き換わってしまうため意味がありません​。アウトライン化は主にIllustratorなどの編集ソフトで行いますが、ソフトをお持ちでない場合は印刷会社に依頼できることもあります。本当に埋め込めない特殊フォントを使っている場合以外は、前述の方法でフォント埋め込みPDFを作成することをおすすめします。

まとめ

  1. 確認:Adobe Readerでプロパティ→フォント
  2. 対処:Word設定/CubePDF/LibreOffice/オンライン変換/楽々PDFメーカー

これで「フォントが埋め込まれていません」エラーとは今日でお別れ。安心して印刷・配布・入稿しましょう!